更新日:2018年05月18日
民法上、相続の対象となるのは、預貯金契約上の地位です。預貯金の払戻請求権(預貯金債権)はこの地位に含まれる一つの権利です。この地位に基づく権利としてはほかにも取引履歴開示請求権などがあります。
以前は、相続における預貯金債権の取り扱いは銀行と裁判所で異なっていました。
銀行は、預貯金債権は相続人が合有する権利で、単独で払戻請求ができないものと取り扱い、相続人全員の実印(遺産分割協議)が揃わなければ払い戻しに応じることはありませんでした。
一方、裁判所は、預貯金債権は遺産分割を待たずに(当然に)法定相続分で分割(相続)されるものと取り扱い、単独で法定相続分の払い戻しを請求する相続人を勝訴させる判決を書いてきました。
ところが、平成28年12月、最高裁は従来の判断を変更し、預貯金債権の相続には遺産分割が必要であるという判決を出しました。この結果、遺産分割が決まらないときに単独で法定相続分だけ払い戻してもらう奥の手が通用しなくなりました。