随想・花村会計事務所の退所

　花村先生の事務所に勤めて２年が経過する頃、皮膚病が悪化し、ついには常勤で仕事ができない状態になりました。いろいろ調べて、医者の処方するステロイド自体が皮膚炎の原因だとわかり、ステロイドの使用を止めることに決めました。その結果、皮膚の状態は一時的に増悪し、左目が見えなくなっていきました。

　私は、ずっと花村先生のもとで仕事がしたかった。仕事がとても楽しかった。勉強家で脱俗的な花村先生が好きだった。そして、いずれは花村先生の後を継いでお世話になった職員さんに報いたかった。しかし、常勤が難しい以上、花村先生にご迷惑はかけられなかったので、療養に専念するため地元の豊川に戻ることを決めました。

　花村先生はためらう私に対しこう言われました。「一度、療養に専念したほうがいい。健康に比べたら仕事なんてとるに足りない話だよ。豊川に帰ったほうがいい。」

　花村先生の言葉がとても嬉しく、寂しかった。平成２９年４月、豊川で独立することになりました。