更新日:2018年05月20日
一度終わった遺産分割協議の後に、事情があって、一度目の遺産分割協議を合意解除しあらためて遺産分割協議を行うことは自由です(最高裁判例)。相続登記も錯誤を理由にやり直すことができます。
他方で、相続税法上は、遺産分割協議は自由にやり直しができないと理解されています。
相続税の申告期限までになされた遺産分割協議により取得された財産は「相続・・・により財産を取得した」ものとされますので、新しい協議は申告の前提にできます。
しかし、期限前に成立した遺産分割協議を期限後にやり直す協議(合意)については相続とは無関係の単なる交換・贈与契約と認定され、期限前の遺産分割協議との差異部分は、所得税及び贈与税の課税対象とされます。
つまり、申告期限の前後で適用税法が異なり、期限後はやり直しを認めてもらえません。
もっとも、相続税の申告期限前の協議に民法上詐欺・動機の錯誤といった瑕疵があり、これを期限後に取消・改めて合意した場合は税法上どうなるのか、確定した裁判例はありません。