更新日:2018年05月20日
遺産分割の方法は、3つあります。現物分割、換価分割、代償分割です。
現物分割は、個々の相続財産を、独立した財産権の単位に従って相続人間で分ける方法です。たとえば、相続人Aが甲土地を相続する、相続人Bが乙土地を相続するというように、個々の財産を単独所有として分ける方法です。ただ、事情があってあえて一つの財産権を共有する分け方もできます。
換価分割とは、相続財産を換価し、その対価を分ける方法です。換価分割による場合でも、相続財産のうち一部の財産を換価し、残りの財産は現物分割で分けることが多いです。換価分割は、相続財産に現預金が少ない場合で、相続税の納税資金を工面する必要があるとき、遺産分けの調整金を工面する必要があるときなどに利用されます。
代償分割は、換価分割と同様、相続財産に現預金が少ない場合で遺産取得の割合を調整する必要があるときに使われますが、換価分割と異なり、相続人個人の現金を調整金として拠出する分割方法です。
遺産分割の方法として、換価分割や代償分割を選んだ場合、課税関係はどうなるのでしょうか。
換価分割では、換価のために資産を譲渡しますから、相続税に加えて、(譲渡)所得税がかかる場合があります。古くから所有する土地の売却なら、所得税等は売却代金の約20%です(取得費の5%概算や譲渡費用は無視します)。この所得税は、譲渡資産について遺産分割協議で決めた共有割合に従って各自申告納付しなければなりません。
代償分割は、遺産取得の割合の調整として、通常、取得財産が多い相続人Aが、取得財産が少ない相続人Bに現金を渡す方法です。そうすると、Bには贈与税がかかりそうに思われます。しかし、代償金は遺産分割の一環と評価されますから、贈与税はかかりません。代償金のやりとりは相続税の対象になります。具体的には、Bはあたかも被相続人から現金を相続したかのように扱い、Aは被相続人の債務を承継したかのように扱います。