更新日:2018年05月30日
訴訟における証明責任は、自己に有利な法律効果(権利の発生と消滅)を主張する者が、その効果を規定する条文の要件部分を証明しなければならないという考え方です。では、どのような状態になればある事実が証明できたといえるのでしょうか。
ある事実が証明できたといえるのは、高度に蓋然的であるという程度に確からしいと裁判官が評価したときです。俗に、80%くらい確からしいと評価したときといわれます。したがって、有るか無いかどちらかといえば有りそうだと思えるときでも裁判では有るとは認定しないのです。
刑訴法でこのことを説明すれば、刑訴法の命題は、「有罪か無罪か」ではありません。「有罪といえるのか、それともそこまでには至らないのか(guilty or not guilty)」です。
要件の有無はあるかないかというデジタルな問題ですが、その判断過程にアナログな程度概念を持ち込むことで具体的妥当性を図る。これは公平に判断をしなければならない責任ある者の英知です。