更新日:2018年05月20日
相続税の計算上、相続財産から被相続人の債務を控除できます。債務の具体例は、死後に相続人が支払った病院費用や介護費用などです。税金は少し難しいのですが、被相続人が生きていた時点で債務が発生していれば金額の決定・通知が死後になっても債務として控除できます。たとえば、固定資産税は、法律上1月1日時点における不動産の所有者に納付義務が発生しますから、1月1日に生存していたが固定資産税を支払う前に死亡した場合でも債務控除できます。
気をつけてほしいのは、原則、保証債務は控除できないということです。民法上、保証人の保証債務は契約時にすでに発生しています(請求権化していないだけです)が、主債務者がまずは支払うことが予定されており、「確実」な債務(相続税法14条)とはいえないからです。ただし、保証人に生前訴訟提起されていたなどの事情があれば、「確実」な債務といえます。財政状態・経営成績の良くない会社の連帯保証人である代表取締役の相続では工夫が必要です。
民法上、葬式費用は被相続人の債務ではありません。喪主である相続人の契約上の債務ですから、遺産分割審判では、原則、相続財産から控除した上で法定相続分を計算することはできません。
また、被相続人の債務でない以上、本来、遺産分割協議の対象にはなりません。しかし、通常、相続財産から葬式費用が支払われる実態に配慮し、相続税法上は、相続財産から葬式費用を控除して相続税を計算できます。ですから、葬式費用の負担者を税務署が確認できるように、遺産分割協議書に葬式費用の負担者を記載するのが通例です。
葬式費用として控除できる対象は、条文上列挙されておらず、最後は社会通念によって決めるしかありませんが、注意してほしいのは、仏壇の代金は控除できないことです。生前に仏壇を新調するのは誰だって気乗りのしないものですが、近い将来に新調を予定しているなら生前に購入した方がそれだけ相続財産が減るので相続税との関係では得になります。