更新日:2018年06月12日
生前贈与の相談で、「幼い孫に贈与できますか」とのご質問をよくいただきます。幼児は意思能力がないのでもらうとの意思表示はできませんが、幼児の親は幼児の法定代理人ですから、祖父母は、幼児のために、幼児の親と贈与契約を成立させることができます。幼児の親が、ありがとう、といえば贈与契約は成立します。
では、幼児の親が幼児に贈与することはできるでしょうか。幼児の親は、契約当事者としてあげるという意思を、幼児の代理人としてもらうという意思を表示することができます。落語のような情景ですが、民法上はこれを自己契約といい、代理される者に不利益がなければ有効に契約が成立するとされます。
この自己契約の法律構成は、幼児の親が若くして急逝したときに、名義預金の認定の反論に使えるでしょうか。親は子供名義の預金をつくるとき、将来の学費や結婚資金として渡すためにつくるのが通常ですから、幼児の時点であえて贈与をする確定的な意思があったのかどうかが争点になるでしょう。