更新日:2018年05月18日
遺産が「基礎控除額」を上まわるときに相続税がかかりますが、その後の計算はとても複雑で、相続税を専門的に勉強した方以外にはわかりにくい仕組みになっています。
(1)相続税は基礎控除額を上まわる財産額(課税遺産総額)に税率をかけて算出しますが、具体的には、
(2)相続人が法定相続分で課税遺産総額を分けたものと想定して、各相続人の課税金額を算出します(ばらす)。
(3)その課税金額に応じた累進税率をかけて、各相続人の相続税を算出します。
(4)次に、各相続人の相続税を合計し、家族が負担する相続税の総額を決定します(まとめる)。
(5)最後に、相続税の総額を、実際の遺産分けの割合(一人がすべてもらってもいい)に応じて、各相続人に分担納付させるのです(ばらす)。
わかりにくい計算方法ですが、一旦、法定相続分で計算することで、どのように財産を分配しても税負担が同じになるように配慮されています。
相続人が妻、長男、長女で、相続財産は8000万円として、具体的な相続税の計算をしてみましょう。
(1)税金がかかる対象金額を計算(課税遺産総額)
8000万円-基礎控除額4800万円(3000万円+600万円×3人)=3200万円
(2)法定相続分に応じた課税金額を計算
妻(1/2) 1600万円
長男(1/4) 800万円
長女(1/4) 800万円
(3)「相続税の速算表」を使い相続税の総額を計算
妻:1600万円×15%―50万円=190万円
長男:800万円×10%=80万円
長女:800万円×10%=80万円
相続税の総額は350万円
(4)実際の負担額を計算(妻が6割、長男が3割、長女が1割ずつ取得した場合)
妻:350万円×6割=210万円
長男:350万円×3割=105万円
長女:350万円×1割=35万円
※なお、次回説明する「配偶者の税額軽減」を使えば、妻の210万円は免除となります。